青葉若葉が目にしみる爽やかな五月、まさに天地の親神様のみまつりにふさわしい季節です。
　天地金乃神様は、一生死なない父母として私たち人間を常に愛し慈しみ、育んで下さっておられます。どんな神様かと一言で言えば「どろんこの神様」と言えましょう。先代教会長大場正範先生のお言葉によると、天地金乃神様は高い処から手をさしのべて助けるのではなく、あなたのすぐ横にいて、共に苦しみ、共に喜んで下さる、どろんこになって苦しみ、助けて下さる神様なのです。そのようなお働きを常に向けて頂いている私たちである、との自覚を改めて持たせて頂くのが今日のみまつりの大切な中身だと思います。
　先日、ある母子連れのご家族が、初めて参拝されました。二歳ぐらいの女の子を抱っこし、中学生の女の子を連れたお母様のお顔を見て、「Ｋさんでしょ、良くお参りになられました。」と迎えさせて頂きました。ある信奉者の方のお取次を受けて、そのお子さんが生まれた時より心臓病のことをお祈りさせて頂いていたので、初めてとは思えませんでした。その方は、開口一番「ありがとうございました。Ｔさんから、こちらの神様にお祈りして頂いたおかげで手術も無事すみ、生命を助けて頂いて、こんなに元気になりました。それで、御礼の気持ちをお伝えしたくて、お参りしました。」とおっしゃいます。聞けば、二歳の女の子Ａちゃんは、術後快復の途中で、まだ人混みには出ては行けないとのこと、でも、一日でも早く御礼に来たかったのだそうです。心を込めて美しい字で教会宛に書かれたお手紙を外殿の端に御供えして祈りを向けられているお姿に胸を打たれました。

ご本部正門		手水屋

　実は、そのＡちゃんが生まれる時、Ｔさんの運転するタクシーに乗りました。陣痛があってからの乗車で、今にも生まれそうという中、あいにくの交通渋滞で思うように走れません。Ｔさんは、「金光様」とご祈念しつつ運転し、何とか間に合わせることが出来たのです。その時も、Ｔさんはその御礼と無事出産、成長のことをお届けし、祈っておられました。そして、後日、生まれた赤ちゃんが心臓病を持っていることを知り、小さいながらに、これから何度か大手術を受けなければならないＡちゃん と、そのお母さんの助かりを願い、お取次頂かれ、私も共に立行きを祈らせて頂いておりました。そして、この三月、心臓根治手術の折にはＴさんは病院まで足を運び、お母さんを元気づけ、祈る中で、無事成功の大みかげを頂きました。
　その間のお母さんの不安はもとより、それに伴う諸々の問題にも道をつけて頂けるようにとの願いのもとに、Ｔさんは、このお道はどういう助かりを得られるかと言うことを、感じたままを簡潔明瞭に書いたものをお渡ししていたようです。私も見せて頂きましたが、助かってほしいとの願い一念で書かれただけに、見事にわかりやすくまとまっていました。それをご覧になってある程度は理解されていたのでしょう。これまでの経過と御礼の真心を認めた手紙をご神前にお供えし、共に御礼を申させて頂きました。その方の喜びと共に、お導きされたＴさんがどんなに喜ぶだろうと思い、そして、何より神様のお喜びが伝わってきました。御神米をお下げすると、大変喜ばれ涙ぐまれて、「またお参りさせて頂きます。」と申されました。そのお姿を目のあたりにして、このＫさん母子は、Ｔさんという方を通して、神様がお引き寄せになられたのだと確信しました。神様はそのお母さんと共に苦しみ何とか助けたいとのみ思いを向けておられたのです。しかし、神様からのお働きだけでは、この助かりは成立しないのです。Ｔさんという方の、その母子に助かってほしいとの願いと行動があったればこそなのです。
　Ｔさんは、「この道の信心を始めて、み教えを実行したら心地よく日々を過ごせるようになりました」と言われます。感謝を元にすることで気持ちよく仕事ができ、助かっている、その喜びを、身近で重い荷を背負っている人に伝え、その人が助かって欲しいとの思いを行動に移した、それで、Ｋさん母子が助けられたのです。これから先も、このＡちゃんは何度か手術を重ねて行かなければならないのですが、心の支え（＝安心）を頂けたことは大きなことだと思います。

教祖様奥城		教祖様奥城

　またある四十代の女性は、このお道に入信して、安心を得、考えられない程、自分が変わり楽になれたので、家族にも、神様に心を向け楽しく生きられるようになってほしいという願いを持って参拝を続けておられました。そんな中、念願の新居購入に伴いご主人の方から、お社をお祀りしようと言って下さり、三月末、神舎奉斉式をお仕えさせて頂きました。そして、ご主人も現在は一人でも参拝されるようになられ、一つ一つおかげを頂いておられます。
　四月の共励会で感話をされた四十代の男性は、自分の体験から、子供たちに対し、これからの人生で、どんな困難にあっても助かりにできるこのお道の信心を伝えてあげることが何よりの遺してあげられる財産と思って、伝えていますと話されました。（詳しくは共励会だよりを参照）まさにそうだと思います。教祖様も「金光大神の話を聞いて信心する人はその子孫が安心に日を暮らすようになる。子供に安心のことを伝えるのは真の信心である」とご理解下さっています。私たちも、親に伝え遺して頂いた信心でどれだけ助けられて来ていることでしょう。
　今日は、天地金乃神大祭、そして、芝教会布教百十五年記念祭です。私たちを常に守り導いて下さっている限りない天地の親神様のお働きに対し、また、この安心の道を百十五年の間一筋に伝え続けて来て下さった、初代先生をはじめ多くの方々の信心のお働きに対して改めて御礼申し上げるみまつりです。と共に、親神様、そして、教祖様、直信、初代をはじめすべての霊様にお喜び頂くため、このお働きの流れを自分だけに留めるのではなく、更に身近な家族、とりわけ子供や孫たち、友人、知人、難儀を抱えた人々にこの安心の道を伝え、助かって頂く事を誓うみまつりでもあります。その誓いの実践によって自身の、頂いている安心が更に揺るぎないものとなり「安心の境地」に近づいていくのです。いま、更に安心の道を、喜びと自信と誇りをもって邁進させて頂きましょう。