助かって助け、助けて助かる道を　　
　　　　　　　　 　　ー先代教会長・大場正範大人十年のお年柄にー
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　あけましておめでとうございます。二〇〇六年の帳が上がりました。昨年の事を漢字一文字で現すと「愛」という字だと云うことです。「愛・地球博」開催という処からなのかもしれませんが、ハリケーン、地震など度重なる自然災害で亡くなられた方も多く、テロは頻発し、また、国内ではJRの脱線事故、アスベストによる多数の被害者が出、そして、子供が惨殺される事件が続き、むしろ人命が軽視されている感が否めません。とにかくご遺族、被災者、被害者の人々の今年の立行きを願うばかりです。
　教会では、今年、先代教会長・大場先生がお国替えをされ十年のお年柄を迎えました。六月四日（日）には、十年の式年祭をお仕えいたします。この十年の間に、教会にお引き寄せ頂かれて、大場先生と直接会っておられない信奉者の方も数多くなってきました。しかし、それは、先代にとって何よりうれしいことであり、その方々の上をもしっかりと、御霊神として守り導いて下さっています。この十年祭を心込めてお仕えし、先代のお徳をお讃えし、御礼申し上げることは、私たちにとって、大切なことです。しかし、それだけが全てではなく、そのみ祭りに向けて、目標を立て、一人一人が大場先生に喜んで頂く信心にならせて頂くことが必要だと思います。即ち、大場先生の願いを現していくこと、頂いた教えを生活の中で実践していくことが、大場先生を生き通しに生かしていくことです。
　大場先生の願い、遺された教えはといえば、それぞれの方が頂いたものを思い起こして頂ければと思いますが、晩年はとにかく、「助かって助け、助けて助かる道を」と題しての講演、教話に徹しておられました。亡くなられる十一日前の世田谷教会での講話も、体調すぐれぬ中、この講題で、力強く一言一言情熱を込め熱く話しておられたとのことです。私も先日改めて、またその時の講録を読ませて頂きましたが、まさに、大場先生の願いは、この「助かって助け、助けて助かる道」を実践していってくれということなのだと確信しております。
　それでは、「助かって助け、助けて助かる道」とはどのような生き方なのでしょうか。大場先生は、この講話の中で、教祖様の「人の身が大事か我が身が大事か、人も我が身も皆人である」「天が下に他人はない」とのみ教え、また大阪布教の祖・白神新一郎先生がこの道を現された「人を助けて、己が助かるの御道」とのお言葉を挙げられ、このお道では、「共生き」「共助け」（という表現をしておられました）が人間存在の基本であると言っておられます。
　昨年、このお道の信心に改めて出会うことによって、絶望の底にあり一人で歩くこともままならなかった六十代の信奉者の方が、信行を通して、道を求め、心の眼が開かれることによって生きる力を得、歩いて日参され、我情我欲からの束縛から解き放たれることで楽になり、安心の道を歩み始められ、めざましいおかげを頂かれました。そして、彼女がその喜びを自分の処に留めおかず、これまで心配をかけてきた姉妹たちにその思いを話しました。すると彼女の変貌ぶりに驚かれ、各々が抱えていた難問を話され、彼女は、それに対し自分が頂いているみ教えを話しました。そして、お二人の立行きを願いお取次を頂かれ、御神米とみちしばを送りました。すると、大変喜ばれ、教会へ参拝したいとまで言われました。彼女はそれを喜んで、自分が助かるだけでなく、こうして周りの人をも助けていく事ができる道に出会えたことのよろこびをかみしめ、御礼申されました。そして、また、家族の助かりも常に願われ「子や孫に安心の道を伝えたい」との思いで、事ある毎に、神様のお話をしておられます。そんな中、歳末助け合い街頭募金にも五歳のお孫さんを連れて、いっしょに雨の中、二時間立って御用されましたが、この折、ご主人が一緒に参加することで、彼女の念願だった夫婦そろっての教会参拝が実現するという大みかげを頂かれました。そして、今年は、ご主人と一緒にご本部へ参拝するとの約束までされ、それを楽しみにいよいよ信心のけいこに励んでおられます。近頃、お孫さんがトイレに入っていて何か言っているのでそっと聞いてみると、「いきなり（生神のこと？）金光大神」と唱えてお祈りをしているのだそうで、お孫さんにも着実に信心が伝わっている事を喜んでおられます。
　まさに、この彼女の姿が「助かって助け、助けて助かる道」の実践の姿という事だと思います。
　人間はもともと皆、神様のいとし子同士ですので、皆に助かってもらわねばならないので、一人（個人）の助かりだけでは真の助かりとはならず、「共に助かる」ことが求められているのです。
　「助かって助け、助けて助かる道」の実践によって、私たち一人一人が真に助かっていくことが、神様、教祖様の、そして、先代大場正範先生の何よりのお喜びなのです。
　この一年、皆の共通の信心実践目標として、一丸となって取り組み、これまでのみ教えの勝手解釈を改め、御利益信心に終えることなく、このお道の助かりの真髄を極めさせて頂きましょう。そして、大場先生に喜んで頂く信心をお供えさせて頂きましょう。
　そのためにも、願いを立て、一月五日より始まる「先代十年寒修行」に取り組み、まずは、助かっている自覚にめざめる処からのスタートです。こうして、今年一年、喜びに満ちた安心のおかげをめざし、いっそう信心のけいこに励みましょう！