自分の神様を持とう！
　　　　　　　　　　ー先代大場正範大人十五年の節年を迎えてー 　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　２０１１年・平成二十三年の帳が上がり、新しき年を迎えました。昨年、十二月中旬に、思いもかけずニューヨークへの宗教研修の旅をさせて頂きました。現在転勤でニューヨークに住む妹達・綿引夫婦が誘っていてくれた事と、主人が毎週のテレビ出演の福岡往復で貯めてくれたマイレージによって、教会行事の合間を縫って行って参りました。以前から、アメリカ、特に世界の中心にあるニューヨークでの宗教事情に興味があった事もあり、教会巡りが中心の旅でした。
　到着した日が日曜日だったので、義弟が緻密に計画を立て、分刻みで車で廻ってくれて、その日の内に三つの教会に参拝する事ができました。どこもクリスマスが近づいているので、モミの木やリースが飾られ、クリスマスを迎えるための準備の御用奉仕を信者さんがなさっておられる教会もあり、どこの宗教も同じなんだなあと感じました。あるお教会では、大きなモミの木に白い折り鶴だけが上から下まで見事に掛けられ、日本の折り鶴が掛けられていることへの驚きと共に不思議な思いがしました。神様に捧げられた世界平和への願いを感じ、胸が熱くなりました。どこの教会でも皆真剣な祈りを捧げておられました。
　そして、以前から一度体験したいと願っていたゴスペルの教会に連れて行ってもらいました。なんとマンハッタンのど真ん中、目抜き通りのビルの中にある教会なのですが、「すごい力を感ずる」という妹の言葉にワクワクしながら入っていきました。
　外から見ても、中に入っても、どこが教会なのかわからない、これからミュージカルでも始まりそうなホールでした。中央に十字架もない。しかし、いっぱいの人、人、人。舞台の際までいってひたすら、舞台に向かって祈りを捧げている人もあります。すごい熱気の中に幕が上がり、色々な人種の人々が登場。するともう皆が立って共々に歌いステップを踏み、一つになる。私達も一緒に歌いリズムをとりながら、まわりをみると、子供、若者からお年寄りまで、様々な年齢・人種の人々が歌いながら、両手を挙げて神様を仰ぐ人、もう各々が神様と一つになって陶酔し、笑顔になっています。その歌の内容で印象に残ったのは、｢私は神様の友達、彼（神様）もそう思っている･･･｣というものです。身近に神様を感ずる事で、自分の前に立ちはだかる問題をのり越えていく、孤独に打ちかっていっているのだなあとしみじみ、人間にとって信仰することの大切さを痛感しました。滞在四日足らずの間に、八ツの教会に参拝する事ができましたが、ここにはもう一度ゆっくり来たいと思いました。
　マンハッタンを見下ろす妹たち夫婦の住居で、お手製のディナーを頂きながら、そこで義弟より、興味深い話を聴かせてもらいました。
　ニューヨークに行ってわかったことは、いろいろな方と仕事をしていき、交流していく中で、アメリカ人をはじめ外国人は、この人と本当に親しくなるかどうかを決める時、必ず｢あなたの信仰している宗教は何ですか？｣と聴くのだそうです。即ち、この人は信用できる人かどうかという決め手になるのが、その人が特定の信仰を持っているかどうかという事なのだそうです。日本人は、それらを信仰もしていないのに、新年は神社で初詣、結婚式はチャペルで、亡くなったらお寺でお葬式をする、それでいて、特定の信仰を持っていない、これが外国人が思っている日本人の無宗教観(？)なのだとか。だから、彼が、「あなたの宗教は？」との質問に対し、｢私の信仰は金光教です｣と即答すると、決まって驚かれるそうです。「だから、金光教を信心していて本当によかったです｣としみじみ話してくれました。日本人は、会社などで宗教はタブーのように言われていますが、これが世界からみればおかしな事なのでしょう。これから、特に子供や孫たちを国際社会に通用する人に育てて行くためには、小さい時から、しっかり自分の神様を持つという事が大切になってくるだろうと強く感じました。
　そして、何といっても実際に神様を持つことが、何より、生きる上での安心、大きな力となることは言うまでもありません。
　ある信奉者の方が、奥様が大きな手術をされた時、病院の待合室に、同時に手術を受けている方のご家族が何人かいらしたそうですが、とても心配そうにして、立ったり座ったりと落ち着かず、気の毒なぐらい不安に苦しんでおられる様に見えたと言います。そこで、自分はというと、祈る、ただひたすら一心に祈るしかない、そう思い祈っていると、神様が｢大丈夫、大丈夫だよ｣と言って下さっているようで、なぜか安心の心が湧いてきたといいます。同じ不安な状況下にあっても、ここに大きな違いがあることに気づき、信仰を、祈る事ができる神様を持っている事の強さ、有難さを痛感したと話してくれました。改めて、人間にとって神様を持つことの大切さを思い知らされました。
　いま、私達はご神縁を頂いておりながら、どれだけ、本当に自分の神様を持つことができているでしょうか？心から有難いと思えているでしょうか。
　今年は、先代教会長・大場正範先生がお国替えされ十五年の節目の年です。七月十日には、｢先代十五年祭｣をお仕えいたします。また記念事業として｢教会会堂改修工事｣を行います。皆様一人ひとりのお真心を結集して、親神様と共に大場先生の御霊様にお喜び頂くみまつり、そして会堂改修工事を成就させて頂きましょう。そして私たち自身もまた、この節目の年を機に、信心の改修(改まり)をさせて頂き、しっかり自分の神様を確かなものとして、喜びの一年といたしましょう！